人気ブログランキング | 話題のタグを見る

ささやかな望み

2月10日 晴れ

ささやかな望み_a0243064_194584.jpg


         「携帯の点滴のポンプを使えば自宅療養が出来る!」
         もう少ししたら「家に帰れる!」・・・
         

         入院当初の、えりなの望みは
         「また歩けるようになりたい・・・」
         「皆んなと高校へ通いたい・・・」でした
         でも
         入院して段々、ベッドの上で座っているのにも、しんどくなり
         脂汗が出て、すぐ息が切れるようになっていました
         次第にベッドに背もたれしても座っていられなくなりました
         えりなの望みが         
         ベッドに座っていられるぐらい、よくなって
         「院内学級の高等部に通いたい・・・」に変わりました
         少しでも人と関わりたかったんだと思います
         それも出来ない身体になり、諦めなくてはいけなくなった
         最後の望みは
         歩けなくてもいい、家に帰り4人で普通の生活がしたい・・・
         「家に帰りたい」・・・と
         長期入院の中でドンドンささやかな望みに変わっていきました

         「高校へ通いたい・・・」というのも昼間では無理だと悟り
         「夜間でも通いたい」と・・・同じ年頃の子と同じようにオシャベリしたり
         人とコミュニケーションをとりたかったんだと思います
         「普通に座っていられないから入試が耐えられないよ・・・」と
         何度言っても「頑張る!」と言い張りました
         どうみても受験時間座っていられないので無理だと思いましたが
         本人がそれを解るしか無い
         本人が途中諦めるしか無いと思い、何かあっても覚悟を決め
         えりなの望みを叶えてあげたいと・・・主人と相談して挑戦させました
         医師にも看護師にも説明して出来る事はしていただき
         前日から自宅に帰り、終わったらすぐに病院に帰る約束でした
         朝、制服に着替えるのにも座って居るのがえらくて、見るに耐え難く
         涙が出る思いでした 「えりちゃん、大丈夫!?・・・行けそう?」と聞くと
         脂汗をかきながら「うん、行く」と弱々しい声で言い、休みながら着替えました
         
         学校側に体調を話していたので
         受験会場を玄関近くの応接室にご配慮していただいていました
         主人と私は待合室で待機していました
         10分もしない頃、「お嬢さんがシンドがってみえます」と
         教師が私どもを呼びにこられました
         身体ごと机に伏せて「ハァ…ハァ…」しながら脂汗でべっとりでした
         涙が頬を伝っていました
         「えりちゃん、えらいでしょ・・・」と声を掛けると
         「えりちゃん、もう諦める・・・」と小さな声でハァハァしながら言いました
         ワゴン車には布団をしいていたので寝かせていると
         ひとりの男性教師が車のところに来て
         「受験会場をでられたら、もう一度入る事は出来ませんが・・」と
         おしゃられたので「それでいいです。ありがとうございました」と言うと
         「来年もありますので、また受験してください」と
         正面玄関に入っていかれました
         「来年もありますので・・・」・・・ えりなに来年・・・来年・・・あってほしい!
         そう思いながら、急いで病院へ帰りました

         高校へ通うのを諦めたえりなが
         「せめて中学校の卒業式に出たい!最後に皆んなと一緒に出たい!」
         「どうしても出たい!」と懇願しました
         何もかも出来ないで、生きている時間が少し長くなるより
         願いを1つでも叶えてあげたい・・・そう思い
         中学校の教頭に病院から電話をして、えりなの願いを話しました
         「何があっても親の責任で学校には迷惑をかけません」
         「そう一筆書かさせていただきます・・・」とお願いすると
         「ご両親のとおりにさせてもらいます」と許可をいただきました
         「前日の会場の体育館に打ち合わせに来てください」と言われ
         えりなは卒業生の最後列に車イスのまま席に着き
         私と主人は父兄席の最前列に座り
         卒業証書は校長先生が壇上から降りてえりなに渡していただくことに 
         なりました えりながえらくなったときは途中退場させていただく事になり
         ました
         教頭先生とそう打合せしている時に
         えりながいじめにあって学校に行けなくなった時の担任が
         私に聞こえるように「卒業式に参加することより命の方が大切なのに・・・」
         と言われ、悔しくて悔しくて涙がこみ上げてきました
         えりなの思い・・・親の思い・・・何も想像もしないで
         この先生には言って欲しくなかった
         いじめをほったらかしにして学校に行きたくても行けなかった時間を返して
         欲しい・・・
         えりなの短い命に何が大事とか言って欲しく無かったです

         
         医師、看護師さん沢山に見送られて
         翌日、卒業式には病院から出掛けました
         学校に着くと3人の教師がえりなの乗った車イスを2階の相談室まで
         連れて行ってくださいました 相談室は温かくしてあり
         お心遣いが嬉しくてえりなも喜んでいました
         卒業式の時間が来て、皆んなと合流することになり
         えりなは久しぶりにクラスメイトに会い緊張していましたが
         お友達が近くに駆け寄って来てくれたので少し緊張がほぐれたようでした
         車椅子を押してもらい体育館の会場に入っていきました
         えりなには
         「シンドくなって我慢できなくなったらハンカチを顔にあてるんだよ」と
         えらくなった時のサインを決めていました
         私はえりなが心配でえりなだけを見ていました
         卒業証書をいただき席に付いてすぐにハンカチを顔にあてました
         ここまで参加させていただき、えりなも満足できたと思いました

         えりなの望みを少しでも叶えてやりたい・・・
         本当は少しでも同じ時を過ごして欲しいと願っていました
         でも、それは私の願いでえりなの願いとは違うと・・・思いを変えました
         何も出来ないで、生きている時間が少し長くなるより
         願いを1つでも叶えてあげたい・・・そう思うようにしました
   


         物欲も無くなり、嘆きわがままを言うのでもなく
         段々
         仏様のようになっていく娘が怖く感じていました
         あまり良い子だと天に連れて行かれてしまうようで・・・

         ファッション雑誌も
         「今見てもおしゃれできるわけじゃないし
                     勿体無いから買ってこなくていよ・・・」と
         千羽鶴を折るようになりました
         私が鶴を折っていると
         「えりちゃんも折るわぁ・・・」と折り始め
         えりなが折った鶴はもう少しで千羽になる前で折れなくなりました


         「家に帰れる・・・」と望みが叶いそうになった頃
         微熱が続きました
         少しづつ元気がなくなってきたえりなに
         心臓グループの先生が「抗生剤で熱を下げましょう・・・」と言われました
         私は「熱の原因が何の菌なのか解らないと敗血症になった時に
         困るんではないですか・・・」と医師に伺いました
         すると、
         「そうそう、そういう事にはなりませんから心配なさらなくても良いですよ」
         と言われ、それ以上言えませんでした
         以前、お姉さん部屋で一緒で仲良くして頂いた心臓病の子が
         何の菌が原因だか解らず敗血症で2ヵ月間入院されていました
         なかなか感染の数値が下がらず悲しんでみえました
         幸い、菌に効く薬がみつかり良くなって退院されたのですが、
         随分、悲しんでみえた事が頭にあったので伺ったのですが・・・

         抗生剤は最初の説明では
         「抗生剤の乱用によって耐性菌に変わってしまうと
         厄介なので対策を抗じながら進めます」と伺いました
         一日2回、抗生剤を点滴に入れて頂いていました
       
         菌を無くさないと家には帰れない・・・
         それはえりなも解っていました

 
         ハチャメチャな綴方になってしまいました
         今日もお付き合い下さってありがとうございました         

         
   
         
にほんブログ村 花ブログ 小さな庭へ
にほんブログ         
         
         
by 0102mayu | 2013-02-10 19:06 | 娘のこと

小さな家に思い出がいっぱい。心地の良い空間に包まれ過ごせたら・・・


by mayu